突然だが、
皆さんは「マイ・インターン」という映画をご存知だろうか?
アン・ハサウェイとロバート・デ・ニーロ主演の映画で、ファッション業界を題材にしたヒューマンドラマ。
有名な映画だからご覧になった事がある方も多いのではないかと思う。

なぜこんな事を聞いたのかと言うと、
実は、この映画こそ、僕に靴のお手入れを始める「キッカケ」となったからだ。
この映画は、70歳のベン(ロバート・デ・ニーロ)がシニアインターンとして、人気ファッションサイトを経営するジュールズ(アン・ハサウェイ)の会社で働きだす所から始まる。
若い社員ばかりの会社で最初は浮いた存在のベンが、その人柄からジュールズや他の社員たちと徐々に信頼関係を築いていく、というストーリーで、実はファッションに関連するシーンはそう多くない。
ではなぜ、この映画が靴磨きを始めるキッカケになったかと言うと、ロバート・デ・ニーロ演じるベンの ”イケおじ” ぶりに完全に心を掴まれたからだ。

70歳になっても毎日きちんと髪を整え、ラフな格好の社員ばかりの中、常にスーツを着こなして革のブリーフケースを持って出勤する姿は、まさにジェントルマン。
自宅にある立派なクローゼットには数十本はあろうかというネクタイがズラリと並び、シャツやハンカチが丁寧に畳まれて収納されているシーンからも、ファッションに対する拘りが感じられ、仕事道具も一目で長く大切に使われてきた事が分かるものばかり。
若い同僚に、
「ハンカチって何の為にあるの?全然意味が分からない」と言われた時、
「君らの世代がそれを知らないのは罪だぞ。ハンカチを持ち歩く最大の理由は貸すためだ。女性が泣いてしまった時のため。」
と返したセリフ、カッコ良すぎません?
「ベンのように歳を重ねていきたい」
そう思って意識するようになった事の1つが、
「質の良い物を、手入れをしながら大切に使う」
という事。
特に革製品は、きちんと手入れをしてあげれば長く付き合っていける物が多く、相棒にピッタリ。
少し前置きが長くなったが、今回は、そんな僕が革靴を長く使うためにやっているお手入れ方法を紹介しようと思う。
Contents
準備するもの
僕が普段使っているお手入れ道具はこんな感じ。

全て揃えて大体 8,000円前後 だったと思う。
どのアイテムをどの工程で使っているかは、実際の手順を説明しながら紹介していこう。
下準備
まずは下準備として、革靴にシューツリーを入れる。

こうすることで履きジワが伸ばされ、細かい部分までしっかりと手入れできるようになるし、革がピンと張るので作業もし易い。
この時、靴紐も外した方が良いのだが、革靴の靴紐は普通のスニーカーと少し違った通し方をしている場合が多いため、注意が必要。

慣れればなんて事ないのだが、初めて靴磨きをされる場合は、靴紐を外す前にどんな風に紐が通されていたか、写真を撮っておくと後で靴紐を取り付けるときに便利でオススメ。
1. 馬毛ブラシで全体をブラッシング
シューツリーを入れたら、まず馬毛ブラシで大まかに汚れを落としていく。

表面に着いた土汚れなどは勿論、コバの周りや靴紐を通すタンの部分には意外と埃が溜まっていることが多いため、そういった細かい部分の汚れも落とすのが目的。

この時、馬毛ブラシを使用する理由は、毛先が細いから。
革靴には細かい隙間やシワが多いため、そういった部分の埃を落とすには毛先の細い馬毛ブラシが最適という訳だ。
2. クリーナーで革を ”すっぴん” に
ブラッシングが終わったら、ネルウエスにクリーナーを染み込ませ、さっと靴に塗布していく。

ブラッシングだけでは落としきれなかった汚れや、古くなったクリームやワックスなどを取り除くのがこの工程。
これはよく ”メイク落とし” に喩えられる大事な工程。
僕含め、男性諸君は化粧をしない方も多いとは思うが、前日の化粧を落とさないまま上から新しく化粧を重ね塗りするのが、肌にとって良くない事だというのは容易に想像できるだろう。
だから、クリーナーを使って革を ”すっぴん” にする事で、この後に塗るクリームを浸透させやすくするのだ。
この時注意するのは、必要以上に力を入れて擦らないこと。

力を入れてゴシゴシと擦ってしまうと、革の表面が削れてザラザラと荒れた状態になってしまう。
実は僕も靴磨きを始めた頃、しっかりと汚れを落とそうとして擦り過ぎてしまい、つま先の部分の革をザラザラにしてしまった事がある。
こうなってしまうと元通りにする事は難しいので、特に初心者の方は、僕と同じ過ちを犯さないように、力加減には十分注意して欲しい。
3. シュークリームで革に栄養補給
革靴の汚れを落とし終わったら、ここからは革のケア。

シュークリームをクロスやペネトレイトブラシにとり、靴全体に満遍なく塗り広げていく。
シュークリームは靴のヒビ割れを防ぎ、革に栄養や艶を与えてくれる。
クリームの色は革靴の色と同じ色か少し明るい色で、量は米粒2〜3粒程度が適切と言われている。

ここで気を付けるポイントはクリームをつける順番。
履きジワなどの柔らかい部分は比較的クリームが浸透しやすく、始めにそこから塗ると余分にクリームが染み込み、黒ずんだりムラになったりする。
そのため、つま先や踵など、まずは硬い部分からクリームを馴染ませていき、その後柔らかい部分へという順番が良い。
4. 豚毛ブラシでクリームを全体に馴染ませる
クリームを全体に馴染ませたら、今度は豚毛ブラシを使ってクリームを馴染ませていく。
1. で使用した馬毛ブラシと違い、豚毛ブラシは短くてコシがあるのが特徴。

シュークリームは油分やロウが含まれているため粘り気があり、クリームを塗った後は少し革の表面がベタつくため、毛の細い馬毛ブラシだと毛先がクリームに負けてしまい、うまくクリームを伸ばす事ができない。
そこで、毛の硬い豚毛ブラシを使うことによって、毛先がクリームに負ける事なく、しっかりと靴全体に馴染ませる事ができるという訳だ。
今回のブラッシングではしっかり力を入れてOK。

ブラッシングの摩擦熱によってクリームを引き伸ばし、革に浸透させていくので、大きな動きでなるべく均一にブラッシングするのがポイントだ。
ブラッシングをしていると、みるみる内に艶が出てくるので、僕は靴磨きの中でこの瞬間がたまらなく好きな工程。

5. 仕上げに余分なクリームを拭き取って完了
ブラッシング後に、再度クロスで乾拭きをすればお手入れは終了。

ブラッシングをした後でも、余分なクリームが意外と残っているもの。
革の表面に粘り気のあるクリームが残っていると、細かい埃などの汚れを余計に付着させる事にもなりかねないし、過剰な保湿は革の通気性を悪くするので逆効果。
それに、最後に余分なクリームを拭き取る事で、より艶やかな仕上がりになる。

まとめ
今回は僕が月に1度やっているお手入れ方法をご紹介してきた。
簡単にまとめると、
といった流れ。
最初は時間がかかってしまうかもしれないが、慣れれば30分もかからずに出来るようになる。
やっぱり、ふと足元を見た時に、靴が綺麗だと清潔感があるし、長く使っていきたいからずっと継続している習慣の1つ。
一度道具を揃えてしまえば、そんなに頻繁にお金がかかる訳でもないので、革靴を長く愛用していきたいと考えている人は、ぜひ挑戦してみて欲しい。
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